「血濡れのお猿さん、こんなとこで何してんの?」 「」 旦那の任務を終えてようやく上田城に帰って来れた。任務は首尾よく行う事が出来たのだが最後の最後、敵の忍に見つかってしまいやむを得ず腰に下げている飛翔天風を使い此処まで帰って来たのだった。 「お帰りなさいとか言えないのかねーこの子は」 「おっかえんなさーい」 は立っていた木の枝からひょいと音もたてずに飛び降りた。いつも思うがの背には羽でも生えているのではないかと思う。自分がこんな幻想を抱くのも仕方ない、それほどに身軽に動くのだ、このという少女は。 「こそ、死臭がしますけどー?」 「えぇ、洗ったのにな」 くんくんと自分の二の腕辺りの臭いを嗅ぐはただの少女に見える。こんな少女が敵陣に真っ先に乗り込んで敵に切り掛かるだなんて誰が想像出来るだろうか? 「今回は任務大変そーでしたねぇ」 「旦那も忍使いが荒いんだから・・・まあ俺様には簡単な任務だったけどね」 「さぁっすが真田忍隊隊長様、余裕ですねー」 「まーね」 「私なんか下っ端ですからね・・・これからきつーい任務ですよ」 「頑張ってね」 「はいはい、隊長の為に頑張って来ますよ〜」 「そーじゃなくて、死ぬなって事」 そう言うとは薄く笑った。 「忍は物ですよ、・・・私は隊長の駒ですから、隊長は幸村様の事だけを心配すればいいんです。私の事など心配しなくていいんです」 では、と言い残しては瞬く間にいなくなった。俺様と死臭を残して。 |