「あべー!!」
「なんだよ」
「だいすきだっーー!!」
「・・・」

、意を決しての人生初の告白の返事はデッドボールでした。

「いったあー!!ばかやろう阿部!痛いじゃんか!」
「ばかはお前だ!!」
「私のどこがばか?!普通じゃん!」
「普通?!普通の奴はこんなとこで告白なんかしねーよ!」

阿部の大声が響く夕方のグラウンド。
時間も遅いためもう野球部しか残っていない。
ちなみに私が立つ場所はピッチャーマウンド。
阿部の立つ場所はキャッチャーのいる場所(何て言うのかわかんないや!)
周りにはグラウンド整備をしている部員達。
ほら、三橋くんなんかビビってるよ!花井なんか目反らしてるし水谷は笑ってる
し(覚えとけ水谷!)

「なんでこんな人がいるとこで言ってくんだよ!」
「だって今言いたくなったんだもん!!」
「・・・」

あーあーまた怒っちゃった。
田島が阿部ってすぐ怒るよなー、と向こうで言っていた(ちょっと阿部に聞こえ
るから声小さくしてくれ!)

「阿部!!」
「・・・ンだよ」

うっわ機嫌最悪。
今三橋くんと話したら阿部は確実にプッツンしてまた三橋くんの頭をぐりぐりす
るんだろうな。
てか阿部忍耐強くなったよね。
きっと三橋くんのおかげなんだろうな、よかったね阿部!

、阿部がキレかけてる」

栄口が後ろからコソッと耳打ちした。
阿部を見るとホントにキレかけていた。
マスクをしているからはっきりした表情はわからないけど阿部の纏うオーラでか
なりプッツン寸前までキレかけているのがわかった。
背中に冷や汗が流れたが気にしない事にする。
ていうか私告白したんだよね?なんでこんなキレられてんの?
くっそうなんか私まで腹立ってきた!
というか私告白の返事聞いてないんですけど!デッドボールだったんだけど!?
なんだ、死球だからしねってか!無言のメッセージかこのやろう!
キッと阿部を見る。
後ろから「がキレた!」と聞こえる。この声は田島か、後で覚えてろこのや
ろう!

「あ、べーーー!!」

叫んでぴしっと昔から誉められた綺麗(らしい)なモーション状態で阿部を睨む


「くらえぇシンカー!!」

パシッ、ミットがいい音で鳴った。

「ナイピー!」
「すげー!」
「こんどシンカー投げて!」
「(ちゃんってホント凄い子だったのね!)」

ニヤ、と笑って阿部を見た。
まだミットを構えた状態でじっとしている。

「阿部」

阿部に近寄って前に立った。

「・・・お前マジしんじらんねー」

その言葉にニヤっと笑ってやった。

「じゃあ次はバッターでもやろうか?」

「最高だよおまえ」
「わっ」

マスクごしに笑ってる阿部が見えた。

「好きだ」


バスター


(私の告白がストレートで阿部の返事はバスターだね!擬装バント!!)(意味わかんねーおまえ)