「準太!」 「」 どーした?と言って準太は立ち止まって振り返る。 その時の準太のサラサラの黒い髪が夕日に当たってキラキラ輝くのを私はジッと見つめた。 ドクン、と胸が高鳴った。(キレイ) 「どーした?」 準太はもう一度繰り返した。 「なんでも、ないよ」 「そっか」 準太は目を細めてふわりと優しく笑った。 初めて見る準太の笑顔にきゅん、とした(私って凄い乙女だ) 「、やっぱり今日変」 「な、変って何よ!失礼しちゃうわ!」 「口調から変」 笑いながら私に近づいてきた。 (どうやら準太のよくわからないツボに私の変な口調がハマったらしい) (準太が笑ってくれるなら、全然いい、嬉しいよ) (私だけが知ってる準太だって思えるから) (思い上がりって分かってるけど) でもそんな事準太に言えないから。 「・・・準太笑いすぎ」 「ゴメンゴメン、があまりにも変だったから」 「だから変じゃないってば!」 嘘、私すごい変だ。 準太を見るとドキドキするし喋ったらもっとドキドキする。 触れられたらその場所がじんわりして溶けちゃうんじゃないか、って思う。 他の女の子が楽しそうに喋ってるのを見たら頭の中が真っ白になる。泣きそうに なって、いつもその場から逃げ出してしまう。 私、準太に関係する事全部に変になっちゃうんだよ。 私、やっぱり変なんだ。 「でも俺も最近変なんだよ」 「・・・準太も?」 「そ、俺も変なの」 「そーなんだ・・・」 準太も変なんだ、なんで変なんだろう。私たち二人、変なんだ。 (それすらも、嬉しくて) ぷ、と前から聞こえたから前を見ると準太が顔を背けて笑いをこらえていた。 「ちょっ、なんで笑うのー?!」 「ご、ゴメン・・・、が、可愛くてつい・・・」 ヤバイ、もう無理!と言ってとうとう声に出して笑い出した準太の前で私は顔が 熱くなるのを感じた。 (可愛い、って・・・) 夕日が出ててよかった。 きっと私の赤い顔を隠してくれているだろうから。 「あーごめん、また笑っちゃった」 「あ、うん、いいよ全然」 準太の顔を見れなくて俯いた。 準太の少し泥のついたスニーカーが見える。 「、」 名前を呼ばれて顔をそろそろと上げる。 そしたら準太はさっきの笑顔で私を見ていた。 「俺が変な理由、知ってる?」 知らない、と首をふるふると振ると「俺は、」と準太は言葉を続けた。 「の事大好きだから」「の事考えると変になっちゃうんだよ」 恥ずかしい、と囁いて今度は準太が顔を俯かせた。 (準太の耳までが赤く染まっていた) 目の奥がじんわりと熱くなった。 準太の変だった理由、私の変だった理由。 いつの間にかイコール関係だったんだね。 (準太、私も、) 「じゅ、んたっ!」 準太が顔を上げるのを見て私は口を開いた。 「私も、準太が好き、だよ!」 また準太が笑った。 今まで見たことのない笑い方で。 |